2013年3月13日水曜日

ベトナム進出後

国民の8割が仏教徒だそうです。
昨日のブログではベトナムの新労働法が施行される話をしましたね。
本日は、そんなベトナムに進出した後の会社運営に関わる法律についていくつかピックアップしてお話します。

まずは、知的財産権のお話。
これは自国の技術が優れ、模倣される危険がある国つまり先進国においては整備が進んでいますが、途上発展国においては未整備または機能出来ていない場合がかず多く見られます。
ではベトナムについてはどうでしょう?

知的財産権において、商標権は原則として登録が必要とされていますが、周知商標については登録していなくても保護されることになっています。
(知的財産庁に認証申請を行い、周知が続いていることを確認する必要はあります!)
漢字の表記は図形商標として扱われますが、日本語のみの商標は識別力がないとされる可能性もあります。
そのほか、今後特許、意匠、商標等の更に深化した保護も検討されています。
年10件ほど知的財産権の民事訴訟が起こされており、その措置としては警告状、和解などもあるのですが、
最も迅速で効果的な手段としては行政措置があります。
警告、罰金の他に営業免許取り消しや侵害品の破棄も手段にあります。

続いて競争法(日本の独禁法のことですよ!)
ベトナムでは独占的・支配的地位にある企業の行為を制限しています。(日本でも独占・寡占・競争市場の分類がありましたね)
独占的地位の企業とは、関連市場において他に競争者がいない場合を指し、顧客にとって不利な条件を課したり一方的に契約内容を変更または破棄する行為、原価割れ販売、再販売価格維持行為等、新規参入障害などが違法行為とされています。

支配的地位とは関連市場において1社で30%以上のシェアを有する場合、競争を実質的に制限する能力を持つ企業を指し、原価割れ販売、生産・販売制限等が違法行為になります。
(基本的に独占的地位と支配的地位にある企業の禁止行為は同じなのですが、支配的地位には顧客にとって不利な条件を課したり一方的に契約内容を変更または破棄する行為の制限がありません。・・・・まあ理屈を考えれば当たり前と言ったら当たり前なのですが・・)

違法行為を行った際の罰則としては、前年度の違反者の総収入の5-10%の罰金、証拠物件、犯罪供用物件、違法収益の没収、取引・契約からの違法な条件の強制的排除 の措置があります。
最近では2009年の国営ベトナム・エアー・ペトロル事例で37億VNDの罰金が課されたり、
2010年には自動車保険の料金の引き上げにかかる協定で違反があったとして合計17億VNDの罰金が課されました。(この事件では19社が関係し、合算市場シェアは99.79%だったそうです・・・)

2011年に発覚したMegastar事件については優越的地位の濫用を調査中と近年取り締まりが厳しくなってきています。

2010年にはPL責任、リコールなどを定めた消費者権利保護法も成立しました。

法体制が着々と進んでいるように見えますが、問題点も数多く残っています。

例えば、裁判制度。
第1審の開始までに1年以上を要することもあるうえに裁判官に法的解釈の権限がなく、これまでの裁判例もほぼ公開されず、過去の判例にも拘束されない、判決執行の保証がないなどの問題点もあります。

またベトナムに限らず、アジア諸国全般に言えることですが、贈収賄などの汚職も横行しています。

なんと、ローカル企業の約7割が賄賂が必要だと考えており、有罪とされた場合の最高刑は終身刑ですが、
結婚式、葬式、中秋節などで慶事目的が明白であれば50万VNDまでの受領が認められており、一般の時でも200VND未満で重大な結果をもたらさず、反服していなければ刑事罰になることもありません。

今後、法整備がどうなるのかも含めて十分にベトナム進出を考えたいですね!

今回の記事も2月28日に開催された澤山啓伍先生のセミナー「ベトナム法律実務の最新情報」からでした!
当社ではベトナムを含む東南アジア地域進出に関するセミナーを多数開催していますので、興味のある方はお気軽にどうぞ!
http://www.kinyu.co.jp/

0 件のコメント:

コメントを投稿

フォロワー