演題:「入門・民法改正に伴うビジネス契約書の見直しと実務」
講師:渡邉 雅之 氏(弁護士法人 三宅法律事務所 パートナー弁護士)
日時:平成29年7月7日(金) 14:00~17:00
本年5月26日、国会において改正民法が可決・成立し、2020年までに施行されることとなりました。今回の民法改正は、制定以来120年振りとなる大掛かりなもので、特に債権編が抜本的に見直され、各種契約等にも多くの変更をもたらすものであることから、企業にとっては改正内容の迅速な把握と対応が求められているところです。今回は、民法の改正ポイントや、改正民法が契約や契約書の条項などに及ぼす影響等について、三宅法律事務所・パートナー弁護士の渡邉
雅之先生に講演して頂きました。
今回のセミナーは「契約の入門」という側面もあったため、まずは契約の類型や原則、契約書の種類のほか、法令用語や印鑑の意義といった契約実務上の基礎知識から丁寧に説明して頂きました。法学部生である私にとっても大学の講義で学んだことのある内容とはいえ、契約書のサンプルも用いた実務的な視点からの解説のお陰で、これまでに学んだ知識の実社会における応用例をイメージすることができました。続いて、契約書の作成・契約交渉上の留意点をご説明頂きました。株式譲渡契約書・金銭消費貸借契約書等類型ごとに構成や規定例、各条項の勘所などを丁寧に解説して頂き、私たちが日頃それほど目を凝らして見るものではないであろう各規定や条項が、一つ一つ重要な意義を持っているということを認識されられました。
後半からは、いよいよ民法改正に伴う内容に入り、契約の成立時期や履行請求、法定利率、定型約款、債権譲渡など、改正された各項目についての変更点と目的、それに伴う実務上の留意点を細かく説明して頂きました。このうち、特に瑕疵担保責任の廃止などで大きく手が加えられた売買契約については、契約目的の明記が適合性判断や損害賠償特別利益の判断に大きく影響するなど、改正法に基づく契約書作成にあたっての注意点や工夫のしどころをじっくりと分析・解説されていたのが印象的でした。
先生のセミナーで印象的だったのは、資料や解説の豊富さです。各法規や契約の条項、実務上の留意点それぞれについて単なる内容の説明に留まらず、背景や目的意義まで網羅的に説明して頂いたことで、それぞれの役割や重要性を深く認識することができました。終了後にも参加者からの質問が相次ぎ、契約実務の初心者からベテランまで、どの理解度でも充実した収穫を得られたセミナーであったようです。
法学部3年 インターン
0 件のコメント:
コメントを投稿