当初は日本に進出してきた外国法人がターゲットでした。しかし、その後コストカットを目的として日本企業が海外に子会社、生産拠点を移すなどの動きもあり、現在では日本企業と関連企業の取引の取り締まりがメインに置かれています。
近年では税制対策としてタックスヘイブン地に本社機能の一部移転やチャイナリスクを嫌って生産拠点を中国から他のアジア諸国に移す動きも活発になっています。
取引がグローバル化し、多くの企業が越境ビジネスをこなしていると思いますが、その際に気をつける必要があるのが税務の問題。
日本に限らず万国共通で税徴収で得たお金はその国を回す資金になるので、取るべきものはしっかり取ろうと徴収をしっかりとします。
日本国外のある会社と取引するとき、その会社は大分すると2つのタイプに分けられると思います。
その2つというのが国外関連会社とそれ以外。
国外関連会社とは
親会社・子会社の関係のように50%以上の株式を保有している
姉妹会社のように親会社が同じ
実質的な支配権を持っている
の3つの特徴が挙げられます。
これに当てはまらないのが それ以外 のタイプですね。
なぜ、このように分けて考える必要があるかというと・・・・・
想像するのに容易いと思いますが、国外関連会社の場合には取引額が通常のものと変わってくる場合があります。かなり親密な関係を利用して所得を移転させることも簡単です。
それを阻止するためにあるのがこの移転価格制度。
関連者間で行われる取引の価格が、第3者間で行われる場合の金額(独立企業間価格)がベースになっているかを取り締まる制度です。
移転価格に対する調査は2年以上の長期間になることも多く、また税務当局には過去6年分まで遡って調査・請求する権利が認められています。
過去のものまで遡って請求されることが皆さんがニュースでこれ関連の事件を見るときに100億円をゆうに超す巨額な請求になっていることにもつながっています。(もちろん一部の大企業、大プロジェクトの時しか大々的に報道されないということもあるのですが。。。)
大企業だけが調査の対象になる、規模のでかいビジネスしか調査されない
と思われがちですが、過去10年間でほぼ大企業、大型案件は一巡しており、調査の目は中堅企業に向けられてきています。
(過去五年間分を遡って160億円余りの申告漏れが発覚し、約80億円を追加徴収された日本ガイシのニュースURLになります⇒http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0901G_Z00C12A5CR0000/)
ここで徴収されたお金は政府の財源である税収になるので、もちろん税務当局の担当官も必死になって探すわけです。ここで朗報なのが、この移転価格制度ではキーポイントとなる‘‘独立企業間価格’’の言い分が当局側と企業側で食い違う事が多く、企業側が決定に対して異議申し立てをすることも多々あり、認められるケースもあります。
(例として武田製薬に対する追徴課税処分取り消しニュースのURLを貼り付けますね⇒
日本でこの制度が始まって20年あまり、その間に日本経済は多くな構造改革があり、
多くの企業が海外に関連会社を持つようになりました。
大企業にしか適用されないと思われていた移転価格税制も、中堅会社にまでそのターゲット層を広げてきています。
みなさんの会社は大丈夫でしょうか?
ニュース記事になって会社の信用度がガクっと下がってしまわないように、この機会に現状把握、対策を考えてみませんか?
当社では移転価格税制関連のセミナーを3月上旬で2つほど用意しています。
移転価格調査でモメる「帰属」の考え方と対策実務
~国際移転の効果、ロケーション・セービングをめぐって~
3月7日(木)午後3時00分~午後6時00分
講師:萩谷 忠先生
『移転価格税務調査・課税』の具体的事例とその対応法
~調査ステップ、取引形態別課税事例、調査に備えた事前準備~
~調査ステップ、取引形態別課税事例、調査に備えた事前準備~
3月15日(金)午後1時00分~午後5時00分
講師:田島宏一先生
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