まずは中国!
点心美味しいですよね。 |
内容は、移転価格分析資料「同時文書」を確定申告期限の翌年5月31日までに作成、税務当局に要求されてから20日以内に同時文書を提出。10年間は保存義務が残り、以下の三つの条件を満たしていれば文書化が免除されます。
・年間関連有形資産取引金額が2億元以下かつその他関連取引金額が4000万元以下の企業
・関連者間取引が執行中のAPAの対象になる企業
・外資資本比率が50%以下かつ中国国内関連取引のみを有する企業
ペナルティは同時文書を準備していない場合は納税者は2千~1万元の賦課。納税者が提出を拒否した場合には5万元までの罰金。ペナルティには日割りで利息が加算されていきます。
中国の移転価格文書化の留意点は、ロイヤルティ料率が事実上上限が存在するため、本来あるべき料率でロイヤリティがチャージ出来ない場合、日本側で移転価格の問題が起こる可能性がでてきます。またロイヤルティー料率の適用は明確な法令上の根拠に基づくものではなく、外貨管理局の裁量によるものであることも注意しなくてはないません。2009年7月に税務通達が公布され、外国企業にとって厳しい改正がなされたことも忘れてはなりませんね。
(http://www.jris.com.cn/attachments/file/20090728081322150.pdf)
続いてはインド。
ナンのイメージが強いと思いますが、 実はコメもインドの主食です。 |
内容は、年間1千万ルピー以上の国外関係会社間取引を行っている場合、毎年移転価格文書を更新し会社に保管、当局から要請があり次第、提出。関係会社間取引の妥当性について、会計士証明を入手して確定申告書と一緒に当局へ提出、その際、移転価格文書は申告期限に税務当局に提出する必要はありません。
ペナルティは移転価格文書保存義務違反、文書提出不履行、移転価格文書を適切に保管していない場合最大で20万ルピーの罰金、当局からの要請を受けてから30日以内に文書を提出できない場合には最大で10万ルピーの罰金、会計士証明書提出義務違反があった場合には20万ルピーの罰金、過少申告の場合には修正金額に対して100~200%の追徴課税が賦課されます。
インドの留意点は、移転価格問題に対し、積極的で、文書化規程とは別に独立会計士からのレポートが求められていること、2010年まであったロイヤルティ料率の上限が現在は撤廃されているが、無形資産を利用する権利がインド企業に企業に与えられているとしてもそれが超過利潤の獲得に寄与していると認められないときにはロイヤリティが否定される可能性があるため、文書化で十分に説明する必要があります。
ロイヤルティに関しては特にインドでは他の国外グループ会社に対するロイヤルティ料率の一貫性を見る傾向が強く、インド子会社に他の海外子会社より高いロイヤルティを課している場合は否認のリスクが高いことも注意が必要です。
そしてロシア。
移転価格文書化に関する法体制は2011年に改定されました。
その内容は、同一のものとの間で行われた全ての被支配取引に関わる対価の年間合計が1億ルーブルを超える場合、被支配取引に関わる移転価格に関わる移転価格算定方法の妥当性を示す移転価格文書を作成し保存、税務当局の要請から30日以内に提出(金額の指定は2014年以降撤廃予定)。
ペナルティは移転価格文書が期日内に提出されれば追徴課税を受けた場合のペナルティは回避することができる。(しかし、2014年度からは追徴課税の20%、2017年度からは40%と部分的に変わります。)
ロシアと言えばウォッカ。 実はウォッカごとにきめられたグラスがあるのです。 |
最後の南米の雄、ブラジル。
ブラジルのBBQ、シュラスコの肉を 焼いている写真です。美味しいですよ。 |
ブラジルでの基準を満たしていても、日本側で移転価格問題が起こる可能性が十分に起こることを注意する必要があります。
いかがだったでしょうか?
今日紹介した4カ国に限らず、新興国では独自のルールや現地当局の非公式の運用に注意する必要があり、現地の裁判の動向も十分に注意する必要があります。
当社でも移転価格関連のセミナーはこれからも開催していく予定ですので、
興味のある方はぜひ気軽に参加してみて下さい!
中国子会社への移転価格課税対策
国際課税調査の現状とその対応策(移転価格調査と寄附課税調査)
今回のブログの情報も前回同様3月28日に開催された岸谷暁先生のセミナーの冒頭部分の資料から得ています。岸谷先生、セミナーありがとうございました。
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